LoRA
Updated: 2026-05
1. このページで学ぶこと
LoRA(Low-Rank Adaptation) は、ベースモデルの上に乗せる「軽量な追加学習」。本体モデル(数 GB)を再学習するのは高コストだが、LoRA は数十〜数百 MB で特定のスタイルやキャラクターを覚えさせられる。
授業では Comfy Cloud にプリインストールされた 573個 の LoRA から好みのものを使う。
2. LoRA でできること
代表的な使い道:
- 画風の変更: 「ジブリ風」「水彩画風」「80年代アニメ風」「サイバーパンク風」など
- 特定のキャラクター: 既存キャラクター(一部権利注意)の再現
- 特定のスタイル: 写真風、油絵風、コミック風
- 特定の表現: 細部の精密化、特定の光の質感、肌の質感調整
- 特定のオブジェクト: 特定の建物、特定の道具
LoRA は「ベースモデルを 少しだけ歪ませる」イメージ。歪ませる強さ(weight)を調整できる。
3. プリインストール LoRA の例(Comfy Cloud)
573個全部は紹介しきれないので、代表的なジャンル別に。
3.1 Flux 系画風 LoRA
flux1-ghibli_style— ジブリ風flux1-cinematic_kodak_motion_picture_film_still_style— 映画フィルム風flux1-cyberpunk_anime_style— サイバーパンクアニメflux1-comic_book— アメコミ風flux1-80s_fantasy_movie— 80年代ファンタジー映画flux1-2000s_analog_core— 2000年代アナログ写真風flux1-iphone_photo_5l_realism_booster— iPhone 写真の質感flux1-niji_anime_style— niji 系アニメflux1-pokemon_trainer_sprite_pixelart— ピクセルアート
3.2 細部強化系
flux1-detailifier— 全般的な細部追加flux1-add_micro_details_concept— 微細ディテールflux1-better_faces_cultures— 多様な顔の改善flux1-eye_detail_inpaint— 目の精密化
3.3 動画用 LoRA
wan2.2_t2v_lightx2v_4steps_lora_v1.1_*— Wan 2.2 を高速化(4ステップ)wan2.2_i2v_lightx2v_4steps_lora_v1_*— Wan 2.2 image-to-video 高速化AnimateLCM_sd15_t2v_lora— SD 1.5 ベースの動画生成
LoRA 一覧は左サイドバー「モデル」アイコンから確認できる。
4. LoRA のワークフロー
最小ワークフローからの差分:
- チェックポイントを読み込む と CLIP テキストエンコード の間に LoRA を読み込む ノードを挟む
- LoRA ノードに、使いたい LoRA ファイルを選択
- LoRA ノードのモデル出力を K-Sampler に
- LoRA ノードの CLIP 出力を CLIP テキストエンコードに
LoRA ノードの主要パラメータ:
- strength_model: モデル本体への効きの強さ(0.0〜1.5、通常 0.6〜1.0)
- strength_clip: CLIP(テキスト解釈)への効きの強さ(同じく 0.0〜1.5)
両方を 1.0 にすると LoRA が最大限効く。0.5 だと半分くらい。0.0 だと無効。
5. プロンプトに「トリガーワード」を入れる
LoRA は学習時に「特定の単語が出たら効きが強くなる」よう調整されていることが多い。これを トリガーワード という。
例:
- ジブリ風 LoRA → プロンプトに
ghibli styleやstudio ghibliを含める - サイバーパンクアニメ LoRA →
cyberpunk anime style
トリガーワードは LoRA ファイル名や、配布元(Civitai 等)の説明欄に書かれている。Comfy Cloud のプリインストール LoRA はファイル名がそのままヒントになっていることが多い。
6. LoRA を複数重ねる
LoRA ノードは数珠つなぎにできる。
例: ジブリ風 + 細部強化 を同時に効かせる
- LoRA 1:
flux1-ghibli_styleを strength 0.8 - LoRA 2:
flux1-detailifierを strength 0.5
ただし重ねすぎると効きが衝突して崩れることがある。2〜3個まで が無難。
7. ベースモデルとの相性
LoRA は 学習時のベースモデル に紐付いている。
- SD 1.5 用 LoRA → SD 1.5 ベースで使う
- SDXL 用 LoRA → SDXL ベースで使う
- Flux 用 LoRA → Flux dev / schnell ベースで使う
- Wan 用 LoRA → Wan 系モデルで使う
ベースモデルが違う LoRA を載せても効かない(または変な結果になる)。LoRA ファイル名の flux1, flux2, sd15 などのプレフィックスがヒント。
8. クレジット消費の目安
LoRA を載せても、計算量は本体モデルとほぼ変わらない。クレジット消費の差はほぼなし。
ただし LoRA 込みで Z Image Turbo / Flux dev など重めのベースを使うと、当然そのモデル分の消費(2〜10 cr)はそのまま乗る。
9. 自前 LoRA(Civitai インポート)について
Free / Standard プランでは自前 LoRA の持ち込み不可。Creator プラン($35/月)以上で Civitai / HuggingFace から取り込める。
授業では Free プラン前提なので、プリインストール 573 個から選ぶ。これでも相当なバリエーションが出せる。
中安先生個人の Standard アカウントでデモする場合: 同様にデモのみ。学生は Free プラン側でプリインストール LoRA を使う運用。
10. 演習(授業向け)
演習A: 同じプロンプトで画風を変える
- ベースプロンプト:
a young woman with curly hair, sitting by a window, looking thoughtful - LoRA なし → 標準的な写実
- LoRA:
flux1-ghibli_style(strength 0.8) → ジブリ風 - LoRA:
flux1-cyberpunk_anime_style(strength 0.8) → サイバーパンク - LoRA:
flux1-comic_book(strength 0.8) → アメコミ風 - 4枚並べて、画風の支配力を体感
演習B: strength を変えて効きを観察
- 同じプロンプト、同じシード、同じ LoRA
- strength を 0.3 / 0.6 / 1.0 / 1.5 で4回実行
- どこから効きすぎになるかを観察
演習C: LoRA を重ねる
- ベース + 画風 LoRA + 細部強化 LoRA の3段重ね
- それぞれの strength を 0.5〜0.8 で試す
- 重ね方による効果の変化を観察
11. このあと
- Image to Video — 静止画を動画に変える(Wan 2.2 等)
- Algorithm Exposure — CFG極端化や潜在空間補間など、内部を覗く実験
- Edge Cases — 意図的に壊す実験
