コマ撮りとアニメーション

コマ撮りとは

コマ撮り(ストップモーション)は、静止している物体を少しずつ動かしながら撮影する撮影手法のことであり、コマ撮りで制作したものはアニメーションと呼ばれる。絵や人形だけでなく、人間を撮影したものでもコマ撮りで撮影したものはアニメーションと呼ぶ。


(from Stop motion on Wiki

コマ撮りの代表的なものと言えばクレイアニメや人形アニメが挙げられる。コマ撮りから生まれる独特の動きを生かした作品が制作されている。近年では、コマ撮りのみで映像制作を行うのではなく、デジタル技術やコンピュータグラフィックスを取り入れた作品も発表されており、映像の制作技術は多様化している。

映画の撮影手法としても現在のデジタル映像技術やコンピュータグラフィックスが出現する以前では、コマ撮りで撮影された人形を実写映像と合成する映画も多く存在する(例:ターミネーター(1984)、ジュラシックパーク(1993)、List of stop motion films)。このような撮影手法は、着ぐるみと模型を使ったゴジラの撮影手法やエイリアンのアニマトロニクスと並んで特撮(特殊撮影、SFX)と呼ばれる。

<参考文献>
アニメーションの世界へようこそ―カラー版 (岩波ジュニア新書)
こま撮りえいが こまねこ デラックス版 [DVD]

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コマ撮りによる映像表現

コマ撮りはあくまで撮影手法であり、そこから生まれる表現には多様なものが存在する。
ここではコマ撮りによって制作された映像作品をいくつか紹介する。

ノーマン・マクラレン  “隣人”(1952)

Ishu Patel “The Bead Game”(1977)

伊藤高志 “SPACY”(1981)

宇佐美毅 “Gluebe”(2007)

BLU “MUTO”(2008)

Oren Lavie, Yuval and Merav Nathan “Her Morning Elegance”(2009)

竹内泰人 “オオカミとブタ”(2009)

Guillaume REYMOND “Pac-Man”(2010)

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いろいろなコマ撮りの方法

コマ撮りはフィルム時代から行われているが、現在では、デジタル撮影機器の登場やパソコンでの映像編集技術の向上によりいくつかの方法が存在する。

 

①フィルム時代のコマ撮り

磁器テープ時代のビデオカメラや現在のデジタルカメラのように動画として撮影することが前提の装置と異なり、フィルム時代の映画のカメラは、もともと機構によって1コマの写真を連続して撮影するものであり、撮影速度(1秒間に撮影するコマ数、ビデオ時代以降はフレームレート?)を変更できるものが多かった。劇場用の35mmカメラだけでなく、ビデオカメラが隆盛する以前のニュース撮影や自主映画で使われていた16mmカメラにはコマ撮り機能があるものが存在し、家庭向けの8mmカメラでも撮影速度を1コマに変更してコマ撮りを行うことができた。特にセルアニメでは、マルチプレーンカメラという特殊なカメラを用いている。

<参考URL>
16mmフィルムの歴史
Bolexの16mmを使う
フジカ シングル8 Z2
8mmフィルムで映像を撮ろう
Site of First Official Walt Disney Studio and Animation School

 

②映像編集ソフト

デジタルカメラで撮影した写真データを映像編集ソフトのタイムラインに並べてアニメーションにする方法。映像編集ソフトとしては、Adobe Premiere、Apple Final Cut Pro、Apple iMovie、Adobe After Effects等、映像編集機能やイメージシーケンス機能があれば作業可能である。(Max OSX標準のQuickTime Xにはイメージシーケンス機能もないが、QuickTime 7 Player for Lion or MT Lionを利用することでイメージシーケンスをムービーファイルに保存することができる。Proキーを購入すれば編集機能等が利用可能。)撮影時にデジタルカメラのみで行えることが利点だが、クレイアニメや人形アニメのように、アニメーションの状態を確認しながら撮影したい場合は③のコマ撮り専用ソフトを検討する必要がある。

 

③コマ撮り専用ソフト

コマ撮りができるPCソフトはフリーソフトから有料のソフトまでいくつか存在する。撮影時にパソコンが必要だが、撮影しながらアニメーションの状態を確認することができるため、細かな調整を行いながら撮影するクレイアニメや人形アニメの制作に適している。サウンドトラックやオニオンスキンなど高機能なものが増えている。

ここでは、Macのコマ撮りソフトを紹介する。

Boinx Software iStopMotion

サウンドトラック、オニオンスキン、マスクを作成するロトスコーピング機能を備えている。価格は約50ドル。iPhoneをリモートカメラとして使うことも可能。

Dragonframe (旧Dragon Stop Motion)

プロ向けのコマ撮りソフトで、デジタル一眼レフを使って高画質のコマ撮りを行うことができる。Dragonframeを使えばフルハイビジョン (1920 x 1080) 以上のデジタルシネマ規格4k (4096 x 3160) 映像を作成することが可能?(調査中。おそらくイメージシーケンスになると思われる)。タイムライン上でドラック&ドロップによる編集の他、撮影対象のオブジェクトをどの程度動かすかを補助する機能DRAWING TOOLSを使えば、プロのアニメータでなければ実現できない動きを簡単に撮影することができる。さらに、音と同期させるリップシンク機能、照明をコントロールするDMXやモーションコントロールカメラに対応するなど高機能。ストップモーション・アーティスト竹内泰人さんも利用している。価格は295ドル。

SEVEN LEGS from DRAGONFRAME on Vimeo.

<参考URL>
パペットBOX
遊んで学ぶお父さん 

 

④コマ撮り専用装置

コマ撮り専用の装置としては、Lunch Box(日本代理店(販売終了42万円)、アメリカ本社)がある。ビデオカメラ(SD画質)とモニターを繋ぐだけでコマ撮りアニメーションが可能。しかしながら、このような専用装置は、前述のコマ撮り専用ソフトに圧されて日本では販売を終了している。今後は、機能が豊富なPCベースのコマ撮りシステムが主流になっていくと考えられる。

また、VJに利用されることを前提に開発された映像送出機のKORG Kaptivator(販売終了)はスローサンプリング機能を備えており、その場でインターバール撮影の効果を生み出すことができる。RolandやNumarkからもさまざまな映像機器が発売されており、コマ撮りやインターバール撮影を行えるものも出てくる可能性が高い。ライブパフォーマンスを目的に利用する上では、このような映像機器の利用も考えられる。

 

⑤iPhoneやiPadを使ったコマ撮り

iPhoneやiPadでも簡単にコマ撮りが可能なソフトウェアが公開されている。StopMotion Recorderは、マニュアルでのコマ撮りの他、インタバール撮影も行うことができる。

 

⑥インターバル撮影装置

インターバル撮影できるものとして、テプラやポメラで有名なKING JIMから インターバルレコーダー(価格約5,000円)なるものが販売されている。長期間の撮影になる植物の成長過程を記録するには面白い選択肢かもしれない。

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インターバル撮影

インターバル撮影は、低速度撮影や微速度撮影、Time-lapseとも呼ばれる。
一定時間毎のコマ撮りとも言えるが、その時間を超えた独特な映像効果は様々な作品中で使われている。
植物の成長や、花の咲く様子、雲の流れ、夜の町並みを車の光が流れる様子などに使われている。

Henry Jun Wah Leeの作品は特に圧巻。一部の映像はHD画質でダウンロードも可能。

A Timelapse Journey with Nature: 2009-2011 from Henry Jun Wah Lee / Evosia on Vimeo.

撮影方法は、前述の「いろいろなコマ撮りの方法」の中でも取り上げているが、近年のデジタル一眼レフにはインターバル撮影機能が装備されているものもある。Nikonではカメラ本体でインターバル撮影できるものが多いが、Canonではリモコン(タイマーリモートコントローラーTC-80N3)で対応できる。上のHenry Jun Wah Leeの作品では、モーションコントロールカメラも使われているように見える(手動のドリーやクレーンかもしれないが)。

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