1. 編集スタイル
1.1 システマチックな編集(アセンブリ)
映画やTV等、業務レベルの効率的な映像制作を行うためには、脚本から撮影台本ができあがる時点で、撮影現場で何を撮影するかが決まっており、どのシーンを何テイク撮影したか、OKテイクと次点候補等、編集に必要なリストを現場で記録している。編集段階でそれらをイチから探し出すようなことはせずにリストを元に編集作業を行っていく。この場合、素材データのIN点、OUT点がある程度定まっているため、次のようなシステマチックな編集手法が適している。
ワークスペースをアセンブリ(素材を並べる作業)に切り替えて、ソースモニターで確認しながらIN点、OUT点を設定してタイムラインにクリップを挿入していく。アセンブリが終わった後は、細かいタイミング調整、トランジションやエフェクト、オーディオ等の編集を行っていく。
1.2 ゆるい撮影、編集
初心者は、上述のシステマチックなアセンブリをする必要はない。トライ&エラーする中で、自分達の撮影スタイル、編集スタイルを見つけてほしい。自ずと効率的な方法は身についていく。
ゆるい撮影の素材データは、どの部分に何が撮影されているかは、カメラ担当者もしくは現場の状況を把握しているスタッフしかわからない上に、編集の段階で忘れていることも多いだろう。その場合は適当にクリップをタイムラインに並べて流し再生するところから始まる。
以降、ゆるい編集ベースで説明する。
2. タイムラインへクリップを配置
プロジェクトパネルで必要なクリップを選択する。複数選択する場合は、パネルの何もないところからドラッグして領域選択することができる。クリップが多い場合はSHIFTキーやOPTIONキーで選択する。
プロジェクトパネルで選択したクリップをタイムラインのV1トラック上にドラック&ドロップする。
3. タイムラインの操作
3.1 時間インジケータ
時間インジケータをドラッグすることで再生位置を移動させることができる。
タイムラインを拡大すると時間インジケータアイコンの右側にバーが表示される。時間インジケータはフレームの頭に位置しており、クリップ最後のフレームでは次のクリップが表示されることを意味する。
3.2 タイムコード
タイムラインパネル左上、プログラム/ソースモニター左下にタイムコードが表示されている。タイムコードは再生位置の時間を表している。クリックして直接数値入力することもできる。+10のように入力すれば10フレーム先に移動することもできる。
映像のタイムコードの最小単位はフレームであり、シーケンスの設定に依存する。どのような映像フォーマットで作成するかは自身の制作物に合わせて判断する必要がある。
近年では60fps以上の高いフレームレートが可能になってきてはいるが、放送やDVDでは29.97fpsが用いられている。29.97fpsは便宜上30fpsと表記される場合もあるが、29.97fps(ドロップフレーム)と30fps(ノンドロップフレーム)は厳密には異なるので注意。
3.3 タイムラインの再生/停止
再生/停止はスペースキーで切り替える。モニターパネル下のアイコンでも可能。
一定範囲を何度も再生して確認したい場合は、再生スタート位置にカーソル(時間インジケータ)を移動して、スペースで再生、停止した後、左クリックで時間インジケータを再生スタート位置に戻すのが一般的方法。
他にもキーボードで以下の操作が可能。
左右カーソル:1フレーム移動(SHIFTと同時で10フレーム移動)
上下カーソル:クリップの区切りへ移動
上下カーソル:クリップの区切りへ移動
3.4 キーボードショートカットの確認
Premiere Proメニュー > キーボードショートカットから確認できる。SHIFTやCmdキーを押せば、そのキーを押したときの状態に切り替わる。
3.5 フルスクリーン表示
UI右上のアイコン(下図)はフルスクリーンでモニター表示映像を再生できる。
3.6 タイムラインのスケール、移動
タイムライン下のバー端をドラッグすることでタイムラインのスケールを変更できる。キーボードショートカットはOPTION+マウスホイール。
タイムライン下のバー中央付近を左右ドラッグすることで、タイムラインの左右移動。キーボードショートカットはSHIFT or Cmd+マウスホイール。
3.7 IN点、OUT点の設定(書き出し範囲、リフト、抽出)
モニター下のアイコンでIN点とOUT点を指定可能。シーケンスのIN点とOUT点は、書き出し範囲、リフト、抽出やプレビュー再生の範囲に利用できる。
書き出し範囲はワークエリアでも設定可能。
IN点、OUT点のクリアやマークはタイムライン上部のタイムコード目盛り表示あたりを右クリックしたメニューでも設定することができる。
4. トラックの操作
4.1 ビデオトラックのロック、表示/非表示、同期ロックの切り替え
・鍵アイコン:トラックのロック
・目玉アイコン:表示/非表示
・同期ロックの切り替えアイコン(初心者不要):例えばビデオトラックインサート時にオーディオトラックへ影響させない用途(下記参考参照)
・目玉アイコン:表示/非表示
・同期ロックの切り替えアイコン(初心者不要):例えばビデオトラックインサート時にオーディオトラックへ影響させない用途(下記参考参照)
4.2 ソースのパッチ(初心者不要)
トラック一番左の部分は、選択しているトラックに対してクリップのインサートが行われる。ソースのパッチで選択できるのはビデオトラックとオーディオトラック1つずつのみ。
例えば、V1トラックのみONにした状態でオーディオはすべてOFFにしておけば、音声トラックを持ったクリップでもビデオトラックしか読み込まれない。ただし、複数クリップ選択には反映されない。複数クリップの場合はリンク解除してオーディオトラック部分だけ削除するしかないだろう。
4.3 トラックターゲット(初心者不要)
トラックターゲットをONにすることで操作の影響範囲を限定することができる。慣れないうちは全てONかOFFにしておく。
・カーソル上下キーの移動ポイント ※ビデオとオーディオトラック両方が影響
・編集点の追加(Cmd+K)※クリップを選択していない場合のみ。クリップを選択していた場合は選択したものだけに編集点が追加される。
・編集点の追加(Cmd+K)※クリップを選択していない場合のみ。クリップを選択していた場合は選択したものだけに編集点が追加される。
※他にもあるかも
(注意)Ver 2022から仕様変更され、トラックターゲットはペースト先に影響しない。初期設定でCmd+Vはコピー元と同じトラックにペーストされる。キーボードショートカットのコマンド > パネル > タイムラインパネル > 同じトラックにペーストを削除すれば旧バージョンの動作になる。ただし、初期設定を変更することはオススメしない。コピー元を移動させてからペーストでも対応できる。初心者にとって、誤操作でトラックターゲットを変更した場合に意図しないトラックにペーストされる混乱を避けるための仕様変更だと考えられる。
4.4 トラックのスケール、移動、表示領域の調整
トラック名付近の境界をドラッグすることで、1つのトラックの高さ幅を変更できる。トラック名付近にマウスオーバーした状態でOPTION+マウスホイールでも可能。SHIFT+マウスホイールでビデオトラック or オーディオトラック全体をスケール。
タイムラインパネル右側のビデオトラック領域もしくはオーディオトラック領域の上下端をドラッグすることで、複数トラックをまとめてスケールすることができる。表示領域が狭い場合は、バーの真ん中部分をドラッグして上下移動できる。
ビデオトラック領域とオーディオトラック領域の境界を上下ドラッグして表示領域を調整することができる。
4.5 オーディオトラックのミュート、ソロ、ボイスオーバー録音
・ミュート:トラックのミュート
・ソロ:トラック以外をミュート
・ボイスオーバー録音:ナレーション録音等に利用
・ソロ:トラック以外をミュート
・ボイスオーバー録音:ナレーション録音等に利用
4.6 トラックの追加と削除
トラック左のアイコン付近を右クリックしたメニューで行う。
5. プログラムモニター/ソースモニター(紹介のみ)
初期設定ワークスペースでは、ソースモニターとプログラムモニターは1つのパネル内にる。以下の操作で自動的に切り替わる。
・ソースモニターへの切り替え:プロジェクトパネルもしくはタイムラインでクリップをダブルクリックした場合
・プログラムモニターへの切り替え:タイムライン(シーケンス)で再生、もしくは時間インジケータを操作した場合
・プログラムモニターへの切り替え:タイムライン(シーケンス)で再生、もしくは時間インジケータを操作した場合
手動でソースモニターとプログラムモニターを切り替える場合は、モニターパネル上部の下図部分をクリックする。
エフェクトワークスペース等では、ソースモニターとプログラムモニターを同時に表示することで、例えばカラーグレーディングを効果あり/なしを比較しながら調整することができる。