1. はじめに
1.1 ノンミュージシャンのための波形編集
ゼロから音楽制作するには高度な制作スキルと経験が必要である。映像制作と音楽制作が同時に行うことができる人はなかなかいないため、外注もしくは著作権フリーの楽曲データを購入する場合も多い。仮に既存の楽曲データの中からイメージに近い楽曲が見つかったとしても、映像の構成や尺に合わないこともある。ここでは音楽的知識がなくても既存楽曲を編集することで映像に合うようにアレンジする方法(上図Level 1.5)について紹介する。
1.2 Adobe Auditionの利用
Adobe Auditionには「波形」モード(不可逆編集)とループ音源等を利用した楽曲制作が可能な「マルチトラック」モード(可逆編集)が用意されており、今回は波形編集モードのみを利用する。今回紹介する方法以外にもイコライザ、ノイズリダクション、ノーマライズ等の高度な編集も可能だが、それらを扱うには音声データに関する知識が必要。
1.3 サンプル単位での編集
Auditionでは音楽データのサンプリングレート(=サンプリング周波数、sample rate)におけるサンプル単位(44.1kHz時では1/44100秒単位)での編集が可能。後述のようにPremiereでも設定切り替えによりサンプル単位での編集は可能だが、PremiereのUI上では波形を細かく確認することは難しいので、ここではAuditionで編集を行う。
1.4 Premiere上でサンプル単位での編集
Premiereの初期設定では、シーケンスのフレームレート(30fps等)設定に合わせたフレームがタイムラインの最小単位として表示されているが、タイムラインパネルのルーラー上を右クリックして表示されるメニューから「オーディオユニット時間を表示」にチェックを入れることで、サンプル単位での編集も可能。映像編集時には逆に編集しづらいので元に戻しておく。
2. 楽曲データの準備
2.1 YouTube Studio オーディオライブラリー
著作権フリーの楽曲が公開されているYouTube Studioのオーディオライブラリーを利用する。
2.2 ライセンスについての注意
各種素材データサイトでは、楽曲データに限らず、静止画、動画の様々なライブラリが公開されている。各コンテンツにはライセンスの条件が設けられており、コンテンツによって、利用範囲や公開範囲、クレジット表記に関する条件が異なるので、よく確認してから利用する。
2.3 オーディオデータのダウンロード
「Moons」で検索して、アーティストPatrick Patrikiosの「Moons 」右側のダンロードをクリックする。
3. Auditionで楽曲データの読み込み
3.1 Auditionの起動
Auditionでは波形編集モードとマルチトラックモードがあるが、今回は波形編集モードのみ利用する。
3.2 オーディオデータの読み込み
「ファイルメニュー > 読み込み > ファイル」もしくはファイルパネルにMoons - Patrick Patrikios.mp3をドラック&ドロップする。
ファイルパネルのMoons - Patrick Patrikios.mp3をダブルクリックする。
エディターパネルに波形が表示される。
4. WAVE形式ファイル(.wav)への保存
mp3は圧縮形式のため、編集作業で何度も保存を繰り返す場合は、一旦WAVEの非圧縮形式で保存した後に作業を行った方が音声データの劣化を防ぐことができる。
ファイルメニュー > 別名で保存をクリックする。
下図で以下を設定してOKを押す。
・保存場所を指定
・形式をWave PCMに変更
・「マーカーと他のメタデータを含める」にチェック(デフォルト)
ファイルパネルとエディタータブで、元のmp3ではなく、wavファイル「Moons - Patrick Patrikios.wav」が読み込まれていることを確認する。
5. タイムラインのスケール、移動
5.1 マウスホイールによるスケール、移動
エディタパネルにカーソルを合わせてマウスホイールを回す。カーソルを中心としてスケールする。
もしくは、パネル右下の下図アイコンをクリックする。他のアイコンでは振幅方向のスケール等も可能。
SHIFT+マウスホイールで拡大されたタイムラインが横移動する。
5.2 ズームナビゲータによるスケール、移動
エディターパネル上部には波形全体を常時表示するズームナビゲータがあり、下図紫枠両端をドラッグしてスケール、真ん中部分をドラッグして移動する。
6. 複数の再生方法
6.1 再生/停止
波形上をクリックすれば、時間インジケータがカーソル位置に移動する。スペースキーで再生/停止を行う。
6.2 ループ再生
下図右下のループ再生アイコンをクリックして有効にする。カーソルをドラッグして範囲選択した上でスペースキーでその範囲のループ再生することができる。
6.3 選択範囲のスキップ再生
下図の「選択範囲のスキップ」アイコンをクリックする。
スペースキーを押すと選択範囲はスキップされ、選択範囲の前後をつなげて再生される。選択範囲を削除した後の接続具合をプレビューすることができる。
7. マーカーの操作
波形の特定位置や範囲の指定にはマーカーを利用する必要がある。Auditionの波形編集ではプロジェクトファイルのようなものは保存されないので、前述のファイル保存の際に「マーカーと他のメタデータを含める」にチェックを入れて、wavやmp3のファイル自体にマーカー位置を保存する。
7.1 特定位置ででマーク
時間インジケータを移動して、Mキーをクリックする。下図のようにマーカーが追加される。マーカーアイコン上で左右にドラッグすることで移動できる。
7.2 範囲をマーク
波形を範囲選択した状態でMキーをクリックすることで範囲をマークすることができる。
7.3 マーカーの削除
マーカーアイコンを右クリックしたメニューでマーカーを削除や名前の変更を行うことができる。範囲マーカーでは両端アイコン上でしか右クリックできないので注意。
7.4 マーカーへの移動
OPTION+カーソル左右でマーカーへ移動、もしくは後述のマーカーパネルでマーカー名をダブルクリックする。
7.5 マーカー範囲の選択
波形を領域選択した後にルーラー上でドラックしてマーカーにスナップさせる。もしくは、範囲マーカーを設定した後、後述のマーカーパネルで範囲マーカー名をダブルクリックする。(Sound Forgeのように波形をダブルクリックする選択方法は実装されていない)
7.6 マーカーパネル
デフォルトで表示されているメディアブラウザパネル(UI左下)をマーカーパネルを切り替える。もしくはウィンドウメニュー > マーカー。
マーカーを追加した場合は自動的にマーカーパネルにもリストアップされる。マーカーパネルでは、マーカー名をダブルクリックしてマーカーポイントへの移動もしくはマーカー範囲の選択、マーカーの削除、ポイント-範囲の相互変換等を行うことができる。
8. Moons - Patrick Patrikios.mp3の編集
8.1 今回の目標
Moons - Patrick Patrikios.mp3(3分45秒)を下図のように40秒程度に編集する。前奏をなくしていきなりサビがスタートして、最後に若干の余韻をもたせたもの。②と③を半分にすれば25秒程度のバージョンも作成できる。
8.2 ①のマーカー設定
本来は自分でどのように音楽を構成するかを考えてマーカー位置を設定するが、今回は以下のように設定する。エディターのタイムコードを入力して時間インジケータを移動させてMキーを押す。もしくは、マーカーパネルで直接入力する。
マーカー名:タイムコード
1-a:1:47.344
1-b:1:51.549
1-c:1:53.336
8.3 ②のマーカー設定
2-a:2:14.180
2-b:2:25.752
8.4 ③もマーカー設定
3-a:2:41.112
3-b:2:48.792
下図は①〜③すべてのマーカーを設定した状態。
8.5 ①②③を入替えてつなげる
以下の手順で編集する。ペーストは時間インジケータの位置より後ろになるので注意。
・2-b〜3-a(②と③の間)と3-bより後ろを削除する。
・1-a〜1-cまでをコピーして3-bの位置にペーストする。
・1-b〜1-cを2回繰り返すようコピー&ペーストする(本来はループでつながる音ではないがフェードアウトするので気にならないレベル)
・他の不要な部分を削除する
8.6 前後のフェードイン/アウト(Adobe Premiere Pro)
前後の処理は映像作品によって必要な長さが変わる可能性があるので映像編集ソフト側で行う。Premiereの場合、フェードイン側をコンスタントパワー、フェードアウト側をコンスタントゲインで設定したほうがフェードアウトの余韻が若干残る感じとなる。
9.(参考)AuditionのAIがどんな音源も1分に自動調整
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