1. タイムリマップとは
タイムリマップ(Time Remapping)は、動画の再生スピードを一定ではなく、変化させる表現手法。次で紹介するスーパースローのように緩急をつけることで劇的な印象を与えることができる。一方で、TVドラマや映画、CM等でも、わからない程度にタイムリマップすることで印象をコントロールしている場面も多い。タイムリマップ機能はAfter EffectsやPremireにも実装されている。ここではAfter Effectsを用いた演習を行う。
2. スーパースローとの併用(紹介のみ)
近年のiPhoneでは240fpsのスローモーションも撮影できるが、1000fps程度のスーパースローでは肉眼では想像できない視覚効果が生まれ、それだけで詩的な情景となる。タイムリマップは緩急の落差が高いほど効果的であり、スーパースローと同時に利用すれば、以下のような映像表現が可能となる。これらは高速度カメラを利用せずにTwixtorプラグインで実現したもの。Twixtorについては高野光太郎氏のチュートリアルが参考になる。
下映像では、ミュージックビデオの中でタイムリマップが多様されているが、歌う口の動きと音楽が合っている。予想だが、最終的にどこをスローにして、どこを早送りにするかを決めた上で撮影時に流す音楽を逆のスピードで編集してから撮影を行っていると思われる。
3. 素材の準備(Pond5)
動画素材サイトのPond5にアクセスしてアカウントを作成しておく。
上記URLページのDOWNLOAD PREVIEW > DOWNLOAD A CLIPをクリックする。
ダウンロードした080164306-slow-motion-wall-flip-architec.mp4を利用する。
4. プロジェクトの準備
4.1 フォルダの作成とフッテージ(動画データ)の整理
ae_projectフォルダ > media > フッテージ(mp4)のフォルダ構成とする(任意)。
4.2 After Effectsの起動
4.3 プロジェクトの保存
「ファイルメニュー > 別名で保存 > 別名で保存」をクリックする。
保存先をae_projectを指定して、ファイル名をtimeremapping.aep(任意)とする。
4.4 フッテージの読み込み
ファイルメニュー > 読み込み > ファイル、もしくは、プロジェクトパネルにフッテージをドラック&ドロップする。
プロジェクトパネルでフッテージを選択している状態では、上部にサムネイルと情報が表示される。今回利用しているフッテージは以下であることが確認できる。
・サイズ:960 x 540
・ピクセル縦横比:1.00
・デュレーション(持続時間):9;06
・フレームレート:59.54fps
・コーデック(動画圧縮形式):avc1(=H.264, MPEG-4 AVC)
4.5 新規コンポジションを作成
プロジェクトパネルのフッテージを右クリックして「複数アイテムから新規コンポジション」をクリックする。フッテージの仕様に合わせたコンポジションが作成される。
プロジェクトパネルにコンポジションが追加され、タイムラインにはフッテージがレイヤーとして読み込まれる。
コンポジションの名称がフッテージの名称のままなので、comp1のように短い名称に変更する。名称変更はクリップを選択してEnterキーで文字入力モードに入り、Enterキーで確定する。
5. タイムリマップの編集
5.1 映像の確認
プレビューパネルの再生ボタンを押すか、スペースキーを叩いて再生して映像を確認する。
5.2 タイムリマップの有効化
タイムラインのレイヤーを右クリックして表示されるメニューの「時間 > タイムリマップ使用可能」をクリックする。
フッテージレイヤーにタイムリマップが表示され、始点と終点のキーフレームが追加される。
5.3 キーフレームの追加
時間インジケータを動かして、スローモーションを開始したい場所に移動する。下図では4秒10フレーム位置。その後、レイヤーのタイムリマッププロパティ左側の◆をクリックして、キーフレームを追加する。
現在位置の移動では、タイムコードをクリックして直接入力することもできる。4秒10フレームであれば「410」と入力してENTERキーで確定する。
スローモーションの終了位置に時間インジケータを移動する。下図では5秒50フレーム位置。レイヤーのタイムリマッププロパティ左側の◆をクリックして、キーフレームを追加する。
5.4 キーフレームの移動
キーフレームを下図のように移動する。間隔が広がった部分はスローになり、狭くなった部分は早送りになる。今回は元の映像がスローモーションなので、早送りした部分が実時間再生に近くなる。
プレビュー再生して、映像を確認しながら微調整を行う。厳密な再生速度にする場合はフレームレートやキーフレームの間隔を計算する必要がある。
5.5 タイムリマップの再調整時の注意点
通常のキーフレームの挙動とは異なり、タイムリマップのキーフレームは映像フレームと連動する。
タイムリマップのタイミングを変えたい場合は、時間インジケータを移動させてながら映像を確認してキーフレームを追加して、元のキーフレームを削除する必要がある。わかりにくい場合は、自分で追加した全てのキーフレームを先に削除した上で、コンポジションパネルの映像プレビューを確認しながらキーフレームを打ち直して調整する。
5.6 レイヤーの長さ調整(参考)
タイムリマップを有効にした場合は元の動画データよりも長いデュレーションに設定できる。
コンポジションメニュー > コンポジション設定から、コンポジションのデュレーションを元動画よりも長く(下図では15秒)設定する。
レイヤーの端をドラッグして長くすることができる。通常の動画レイヤーでは短くすることはできても長くすることはできないが、タイムリマップを有効にした場合は、静止画レイヤーと同様に長さ調整が可能となる。
6. ロゴ調整(参考)
授業内で紹介する。
・ロゴ画像(透明PNG)をウェブ検索でダウンロードして、レイヤーの一番上に配置する
・ロゴ画像の大きさと位置を調整して、透かしロゴに合わせる
・タイムリマップしたmp4レイヤーを複製する
・複製したmp4レイヤーのトラックマットにロゴ画像を指定する
・複製したmp4レイヤーにトーンカーブを設定して明るさを調整する
・必要に応じて、調整レイヤーにブラーとマスクを設定してもよい
7. 書き出し
mp4に書き出す場合はAdobe Media Encoder経由で行う。Media Encoderの使い方は以下参照。
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