1. Lightning Doodleとは
Lightning Doodle(光りの落書き)は、Light PaintingやLight Drawingとも呼ばれ、光の軌跡によって描かれた写真のこと。カメラのシャッタースピードを遅くして光りの軌跡を撮影するこの技法は、1914年頃にMotion Study(動作分析)のパイオニアであるFrank Gilbrethと妻の Lillian Moller Gilbrethが、作業員の動きを調べるために小さな明かりを使って、シャッターを開放したまま写真を撮影したのがはじまりだと言われている。(下図)

Motion Efficiency Study / Frank Gilbreth (1914)

銀塩写真の時代にもアーティスト達によってこの技法を使った作品が作られていたが、近年のデジタルカメラやLEDライトの登場により再注目され表現力の高い作品が作られている。現在ではCG技術が発達しコンピュータだけでもこのよう表現を生むことが可能になってはいるが、デジタルカメラと懐中電灯という簡単な道具とジェスチャー(身体表現)を使うことによって生み出されるLightning Doodleは、子供でも大人でも比較的容易に面白い表現ができるため、アート作品や結婚式のムービー用など多くの作品表現に利用されている。
2. いろいろな作品
日本のアーティストTOCHKA(トーチカ)が、この技法を使った映像作品(PiKAPiKA)を作って話題になった。

(YouTube概要抜粋)2000年初頭、デジタルスチルカメラの値段が手頃になり、1枚の写真を長時間かけて撮影できるようになった。これによって懐中電灯などの光源の軌跡を焼き付ける事で絵を描くライトペインティングが可能となり、データなので撮影直後に確認できるようになった。まるで光が物質化したかのような幻想的なビジュアルに、心底惚れ込んだ。セレンディピティやアクシデントといわれる、偶然から生まれたイリュージョン(幻影)を大切にし、時間軸で再構成することで、光の生命あるいはアニメーションの語源でもあるアニマ(anima)を生み出せることを確信した。
 カナダオタワ国際アニメーション映画祭2006特別賞、文化庁メディア芸術祭2006アニメーション部門優秀賞、クレルモン・フェラン短編映画際2008実験部門グランプリ

TOCHIKAの金沢でのワークショップ作品。
世界中にこの手法が広まったことで、様々な作品が発表されている。
下映像はメイキングも公開されている。Light Warfare - Behind the Scenes
日中のLightning Doodle by TOCHKA。
3. 撮影に必要な道具
シャッタースピードを遅くして撮影する場合は、手持ちではブレが大きいので必ず三脚を利用する。カメラはミラーレス一眼 or デジタル一眼レフがベストだが、コンパクトデジタルカメラでもシャッタースピードを遅くすることができるものであれば利用できる。
ライトは、線を描くにはペンライトが適しているが、コンサート用の棒状のライトを使えばオーロラのような図形を描くこともできる。いろんなライトを試してみることで面白い効果も生まれる。
4. カメラの基礎知識
一眼カメラを扱うためには他にも必要な知識はあるが、ここではシャッタースピードを遅くして撮影することに関係するものだけ記載する。
5. カメラの設定概要(Nikon D90)
Nikon D90での設定方法を紹介する。古い機種だが、Nikon系であれば似た操作のため参考として掲載する。Canon EOS Kiss(X7i)に関しては旧サイトに掲載している。
ここでは一眼系カメラの基本操作を理解していることを前提に、シャッタースピードを遅く撮影するための設定のみ掲載している。
5.2 基本設定
撮影画質:M or S あまり大きいとSDカードの容量や編集時のPCに負荷がかかる
感度自動制御:OFF
ISO:200 必要に応じてLo0.3(ISO80相当)〜Lo1.0(ISO50相当)
ホワイトバランス:固定 オートではなく固定した方が色味が安定する
ストロボ:なし 今回利用するシャッター優先(S)、マニュアル(M)の場合は手動(ボディレンズ付近のボタン)で操作必要なので設定不要
フォーカス:マニュアル(ボディ側で切り替え) 最近のミラーレス一眼と異なり、液晶表示だけではフォーカスが合わせずらいので、ファインダーで確認するか、撮影後の状態を見てある程度感覚で調整が必要。今回の撮影ではオートではボケる可能性が高いのでオススメしない。
Lv:なし Lv(ライブプレビュー)ではシャッター半押しの露出決定に時間がかかるので、基本的にはビューファインダーで確認する。最近のミラーレス一眼より使いづらい。

撮影後のモニタープレビュー後はシャッター半押しして、撮影準備状態にしないとシャッタースピードや絞りの変更ができない
5.3 シャッター優先の場合(推奨)
・ボディ左上のダイヤルを回転してS(シャッター優先)に切り替える
・ボディ右手前のダイヤルでシャッタースピードを5〜8秒程度に変更
・ボディ右上の露出補正を-5程度に変更
・撮影画像が明るい場合は、暗い場所に移動して撮影するか、レンズにNDフィルターが必要。
5.4 マニュアルの場合
・ボディ左上のダイヤルを回転してM(マニュアル)に切り替える
・ボディ右手前のダイヤルでシャッタースピードを5〜8秒程度に変更
・ボディ右手奥のダイヤルで絞りF22程度に変更
・撮影画像が明るい場合は、暗い場所に移動して撮影するか、レンズにNDフィルターが必要。
5.5 レンズの扱い方
Nikon D90にはAF-S DX NIKKOR 18-200mm f/3.5-5.6G ED VR IIが装着されている。
・フォーカス:マニュアル レンズにもあるがボディ側でMに切り替えておけば問題ない
VR(Vibration Reduction、手ブレ補正):ON 三脚固定で行うのであまり意味はない
・VRモード:NORMAL
・LOCK:18mm 任意だが、暗い中で撮影することも多いので、18mm固定のほうが安全
6. LEDライトの貸し出し
6色のLEDライトを貸し出し可能。5セット準備。
1つのLEDライトに単3電池 x 3本必要。
Back to Top